蓋碗の歴史と哲学①
- 浄心(岩咲ナオコ)

- 3 日前
- 読了時間: 3分
こんにちは
茶禅草堂の浄心です。
中国茶が日本の多くの方々に
受け入れられるようになり
日本の若手作家さんがとても魅力的な茶器を作ってくださっています。
日本における中国茶文化が根付いたのだなあと嬉しく思うばかりです。
私はお茶が真ん中にある暮らしを
していますが
それぞれの作家さんの世界観で
繊細さと芸術的センスに毎回心踊らされます。
器を愛でることは
お茶の時間をより豊かにしてくれますね。

中国茶器の代表的な「蓋碗」
蓋碗の歴史変遷とその中に
映し出されている哲学を
2回に渡ってお話したいと思います。
蓋碗の原型が誕生したのは、
唐代にまでさかのぼります。

唐代の蓋碗の原点 (出典:中国歴代具)
言い伝えによると、
建中年間(780–783年)に
四川節度使の娘が、
熱い茶碗を持てるように漆の台座(茶托)を
考案したのが始まりとされています。
しかし、この時は蓋はついていなかったので
「蓋碗」と呼称するには
少し無理があるように思います。
現在のような形として定着したのは
時代がずいぶん下った
明代から清代にかけてです。
明代以降、茶葉を直接お湯に浸す
「泡茶」スタイルが変化したことで、
香りを閉じ込め、
茶葉が口に入らないようにするための
「蓋」の重要性が高まります。
清代(完成期)満州族の宮廷文化において
蓋碗は洗練を極めました。
清朝の皇帝は
康熙・雍正・乾隆帝と3世代に渡って
磁器を愛し(特に景徳鎮)
磁器の技術向上とともに
華麗な装飾が施された蓋碗が流行し
現在の「蓋・碗・托」の三点セットが
標準的な形となりました。

三才碗(さんさいわん):宇宙を映す哲学
蓋碗は別名「三才碗(さんさいわん)」
とも呼ばれます。
「三才」とは、つまり
『天・地・人』
ー天が覆い、地が支え、人がその中心で調和するー
ひとつの天地、ひとつの宇宙が宿り
「天これを覆い、地これを載せ
人これを育む」という
道理が込められています。
これは古代中国の宇宙観に基づいた
象徴的な天人合一の思想を
手のひらの中で表現しているのです。

「蓋碗茶」として一人で味わうかたち
本来蓋碗は、個人用の茶器、
つまり1人飲み用として考案されています。
茶葉を直接碗に入れ、湯を注ぎ、
そのまま蓋碗でいただく。
これがいわゆる「蓋碗」の
使い方・飲み方です。
明代や清代は発酵茶が始まっていましたが、
それでも緑茶が圧倒的に多く
ジャスミン茶なども流行した時代でした。
蓋碗は、淹れた後の茶葉の姿を
そのまま鑑賞できること、
濃さの調整がしやすいという
利点があります。
飲み方に宿る美学
碗の中に茶葉を入れ
蓋を使って茶葉をそっと退ける動作
蓋を少しずらして香りを嗅ぐ「聞香」
茶托ごと持っていただく。
蓋碗の飲み方にも
「天地人は分離されることなく繋がっているのだ」
という自然哲学を体現しています。

茶には「道」があり
器にもまた「道」があります。
器と道が響き合うとき
そのはたらきは互いを高め、
豊かな世界を生み出します。
茶を愛し、味わう人は
器の美と哲学を重ね合わせ、
そこに自らの美意識を宿していくのです。
次回は、蓋碗が茶壺の代用として
使われるようになった変遷をお伝えします。

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