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茶道具 茶則(ちゃそく)と茶荷(ちゃか)

こんにちは

茶禅草堂の浄心です。



中国茶の世界には、お茶をより豊かに楽しむためのさまざまな道具があります。

小さな道具ではありますが、その一つひとつには役割と歴史があり、

使い方の変化には中国茶文化の移ろいも映し出されています。

今回は、よく似た用途で使われることの多い 茶則(ちゃそく) と 茶荷(ちゃか) について

書いてみたいと思います。


茶則 ― 本来茶葉を量り取るための匙



竹を縦に半分割ったような形状が一般的で、

ゆるやかなカーブを持ち、茶葉をすくいやすい形になっています。

多くは竹製ですが、最近では和紙、ガラス、陶器など、

さまざまな素材で作られた茶則も見られるようになりました。

茶則の本来の役割は、茶倉(茶葉を保存している容器)から茶葉を取り出すことです。

乾燥した茶葉はとても繊細で、人の手の湿気や匂いを受けやすいものです。

そのため、直接手で触れず、茶則を使って茶葉をすくい取るのが基本とされてきました。

また、茶倉の中に差し入れて茶葉を取り出しやすいよう工夫されたものでもあります。

茶葉を傷めず扱うために適した素材と言えるでしょう。


茶荷 ― 茶葉を整えておく器



一方、茶荷は、茶葉を一時的に載せておくための器です。

形は、花弁のような形状が一般的です。

花びらの先のように細くすぼまった部分から茶葉を注ぎ入れることができ、

急須や蓋碗に移しやすく作られています。


茶荷の役割は主に三つあります。

  1. 淹れる分量の茶葉を取り分けておく

  2. 茶葉の状態を確認する

  3. 客に茶葉を見せる

中国茶の席では、湯を注ぐ前に茶葉の姿や香りを楽しみます。

茶荷に茶葉を載せて客に回し、香りを聞く。

そうしたひとときは、これから始まる一杯の茶への期待を高めてくれます。

茶荷は、いわば茶葉の舞台のような存在です。乾いた茶葉の香りを聞く――

そうしたひとときは、これから始まる一服の茶への期待を高めてくれます。




変化していった使い方


茶倉から茶葉を取り出し、そのまま茶則の上に必要量を載せ、そのまま急須や蓋碗へ入れる――。

このような使い方が広まり、茶則が茶荷の代わりとして使われることも多くなりました。

そして次第に、「茶葉を取り分けておく器」という役割を茶則が担うようになり、

本来の「茶倉から茶葉をすくい取るための道具」という意味は、

やや薄れていったとも言えるかもしれません。




そのような影響もあり、最近の作家さんの世界でも茶荷より茶則を制作する方が増えており

茶席では茶則がその役割の中心を占めるようになりました。

けれども、その由来を知ると、茶荷という器もまたとても魅力的な存在だと感じます。

蓮の花弁を思わせる形に茶葉を載せ、これから淹れる一服の茶を静かに整える――。

そんな役割を持つ茶荷には、どこか詩的な美しさがあります。

いつかまた、作家さんたちが茶荷の魅力に目を向け、

茶席を彩るような素敵な茶荷が生まれてくることを、密かに期待したいと思います。




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