top of page

潮州茶藝に隠された「三」と「五」の思想

更新日:1 時間前

こんにちは


茶禅草堂の浄心です。

今日は潮州茶藝のお話を

してみたいと思います。

ここ数年、潮州茶藝が再び注目を集め

復興の機運が高まっています

潮州茶藝は、今からおよそ400年前、

広東省潮州地域で発展した

お茶の淹れ方です。

「工夫茶藝」とも呼ばれるこの茶藝は、

現代の中国茶藝の原点ともいわれています。


工夫茶藝が形づくられていった

明代から清代。

ちょうど烏龍茶の製法が発展し始めた頃、

文化の成熟した潮州地域で、

独自の茶の文化が育まれていきました。


清代の文人・袁枚は、

茶書『随園食単』の中で、

「茶杯は胡桃のごとく、

茶壺は枸櫞(くえん)のごとく」

と記しています。



「なぜ、中国茶の茶壺や茶杯は

小さいのでしょうか?」

これは、よく尋ねられる質問です。

その答えを探していくと、

潮州茶藝が始まった時代の人々の

お茶そのものに意識を向ける

茶の思想が見えてきます。


時代が流れ、現代になると、

中国大陸より先に台湾の茶文化が

大きく花開きました。

現代中国茶藝として、台湾式の淹れ方が

広く知られるようになっていきます。

それに伴って、茶壺や茶杯も、

よりたっぷりとした大きさのものが

使われるようになりました。


お茶を囲む人数も、六人、八人と、

より多くの人で楽しむことが

一般的になっていきました。


それもまた、

現代の豊かな茶文化の一つです。

けれど、今あらためて

潮州茶藝を眺めてみると

そこには古くから受け継がれてきた、

もう一つの大切な考え方があります。


それが「茶を囲む人数」です。



潮州茶藝では、

淹れる茶杯の数を大切にします。

最も古典的なスタイルでは、三杯。

たとえ客が三人を超えても、

三つの茶杯だけを使ってお茶を分けます。

地域や茶人のスタイルによっては、

四杯、あるいは五杯まで

という場合もあります。



ただ、六杯、八杯と増やしていくことは、

古典的な潮州工夫茶の考え方からすると、

あまり見られません。


なぜなのでしょうか。

明代の茶人・許次紓は、

茶書『茶疏』の中で、

お茶を囲む仲間は少ないほうがよいという

趣旨のことを書いています。


「三、四人なら趣がある。

七、八人になると、

もはや「施し」にしかならない」


つまり、人数が増えるほど、

お茶そのものに向き合うことが

難しくなるということです。


私自身、茶会を開く中で

六名を超えると、

意識がいろいろなところへ

動いてしまうことがあります。

お湯の状態。茶葉の変化。

そして、

その場にいる人との会話。

人数が増えるほど、

意識は外へ外へと広がっていきます。


ですから、状況が許すのであれば、

私はできるだけ五名以内で茶席を

開くようにしています。



ところで


なぜ、潮州茶藝では

「三」にこだわるのでしょう?


気になりませんか?

哲学思想の視点から見てみると

古代の人は、私たち現代人より圧倒的に

見えないエネルギーを信じていました。


その中で、数のエネルギーを

とても大切にしていました。

たとえば、

奇数は陽、偶数は陰

とされます。

九月九日の「重陽の節句」も、

その思想の表れです。

九という最も大きな陽の数が

重なることから

「重陽」と呼ばれています。


「三」という数

道家思想には、

「一生二、二生三、三生万物」

という言葉があります。

一が二を生み、

二が三を生み、

三から万物が生まれる。


「三」は、

単なる三という数字ではありません。

陰と陽、二つのものが交わり、

「三」は、世界がさらに広がっていく

出発点でもあるのです。



「五」という数にも

触れておきたいと思います。


五という数も、

古代中国思想において非常に重要です。

その代表が、

木・火・土・金・水

という五行です。

自然界を構成する五つの要素。

それぞれが互いに生み出し、

また制御し合いながら、

循環しています。

一つだけではなく、

異なるものが関わり合うことで、

全体の調和が保たれている。

「五」には、

そんな循環と調和の思想が

込められています。




一人でお茶を飲む。

そこには、

己を知り、己自身を満たす幸せ

があります。

二人でお茶を味わう。

そこには、

自分以外の人が見ている世界を、

互いに分かち合う喜び

があります。

そこにもう一人加わる。

すると、

「自分」と「相手」の双方向だけでない

新しい関係性が生まれます。

それは、無限大に広がる世界の入り口

とも言えるのです。



友は、多ければ多いほど、

世界は広がっていきます。

たくさんの人と出会い、

語り合い、

さまざまな価値観に触れることには、

大きな喜びがあります。


けれど、古代の思想は、

「三」という数の中にも、

十分に豊かな世界が生まれることを

私たちに伝えています。



お茶には、

人と人をつなぐ力があります。

愛茶人同士がひとつの茶を囲み

その香りや味わいを分かち合う時間は

いつしか時の流れさえ忘れてしまうほど

心を解き放ち

魂が自由になるようなひとときとなります。


けれど同時に、

お茶の本質に触れるためには、

誰かと語らうだけではなく、

茶と自分自身の心を

静かに通わせる時間も必要です。

茶の香りを感じる。


一煎ごとの変化に耳を澄ませる。

そして、茶を味わいながら、

自分の心の動きに気づいていく。


心の中に「余白」が生まれたとき、

私たちはようやく、

お茶がそっと語りかけているものに

触れることができるのかもしれません。


人と人を結び、

そして

自分自身とも結んでくれる。

それがお茶の持つ

静かで深い力なのだと思います。



伝統的工夫茶、潮州茶藝の思想から

見えてくるもの、

お茶の声を聴くために。

自分自身の心の声を聴くために。

人と人、茶と心が

静かに交いあうための知恵

が残されていると感じています。




====== ======

お茶会のご案内


山韻の気品  

潮州工夫  秘蔵茶会

9月20日(日)14:00-16:00  

 潮州茶藝でお茶をお迎えいたします 

お席 残り一席ございます



コメント


bottom of page